5 不安(前編)

2023.4.1

3月1日は剛の80歳の誕生日だ。

「お父さん、もう80歳だよ。節目の傘寿だし、たまには外食とかして盛大にお祝いしようよ」マリモとタラモは、豪華なものをご馳走しようと計画を立てていた。

外に連れ出すなんて何年ぶりだろう。

マリモたちが子供のころは、よく家族で旅行に行ったり、ハイキングや山登りなどいろいろな場所に連れて行ってくれた。剛はいつだって子供を優先に考える、ホントいい父親だった。

しかし今ではいつの間にか年老いてボケ疑惑がある。そんな剛を連れ出すのはちょっと不安もあった・・・。

 

「カニなんて久しぶりだねえ。めっちゃ美味しそう」カニ好きの三女のリリ子は一番ウキウキしていた。

剛のお祝いに選んだのは、お刺身、ボイル、鍋とフルコースで楽しめるカニ懐石だ。

剛が大のカニ好きと言うわけではない。カニと言えばなんか高級というか豪華というか、お祝い感があるという気がする、一般庶民特有の理由だけだ。

そんな剛の様子を伺うと、カニを食べるのが面倒なのか食事はほとんど進んでいなかった。ただお酒も入りニコニコしていて饒舌だ。

両隣に設置された男子たち、ヨッシーとミッチはもっぱらご機嫌をとるように、その相手をしていた。

そんな中マリモとタラモは、楽しみながら終始剛の様子見をしていた。というか楽しんでる風で、意外と冷静に慎重に俯瞰して見守った。

なぜならそれは今朝、リリ子からまた頭を悩ます心配なLINEが来たからだ。(後編へ続く)

うそでしょ!?