2025.2.5
マリモ、タラモ、リリ子は必死で美恵子を診てくれる病院を探した。心療内科は予約制が多い。
それも何日待ちという感じだ。ただせっかく説得したので、とにかく早く診察させたい。ここんところずーと家庭内でモヤモヤしていたものを外に吐き出すことで、何かが変わるかもしれない。
大人になって結構頼もしい娘たちを信じていない頑固な美恵子の気持ちが、診察することで少しでも変わればいいと思った。
ちょっと不安もあったが急患を受け入れてくれる病院があった。とにかく安定剤みたいなものをもらいたかったので、ためらいもせずそこを予約した。
あんなにごねていた美恵子も思いの外エラかった。朝早くに予約した病院の話をすんなり受け入れて、ある意味腹決まってるなって感じだった。
マリモとタラモは美恵子の病院に付き添った。大げさと思えるかもだが、それだけ重要なんだよと本人にも分からせたかったし、あんなに明るい美恵子の心を壊すうつ病というものが、どういうものかまったく分からなかったからだ。
病院のネットの口コミはこういう時に読んではいけない。ただ読んじゃうのよね。それしか判断基準がないから。
あと数分で診察室に入る美恵子に、口コミの悪さを言うことは出来なかった。いや、あえてしなかった。動揺するからね。
「亀岡さーん」
いよいよ美恵子の番だ。マリモとタラモは一瞬ドキンとなった。
「なんだか私が緊張してきた」心配性のタラモは不安そうな顔でスマホをいじりだした。何も考えたくないからだ。
「平気でしょ。診てもらわない方が怖いわー」マリモはタラモが心配しないよう、平静を装いながら明るく振る舞った。
「だって口コミに、二度と行きませんとか書いてあるし」
「ま、まーね。それは私もヤバッと思ったけどさ、ここしかなかったし」
え、だからなの??
そんな心配をよそに診察を終えた美恵子は、一目で変わったように見えた。スッキリしたような、なんなら清々しい感じ。
「え、どうだった? 先生?」
「イヤな奴じゃなかった?」
「ただのジジイよ」
あっ、毒舌戻ってる! 平気かも! 医者も相性なんだな。
そして美恵子は、帰りにケーキをペロリと平らげた。なんとも心の病気である。
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