62赤ちゃん返り

「いただきまーす」

予定通りのお寿司ランチを、剛、美恵子、マリモ、タラモでいただく。

マリモとタラモは、剛とどう接していいか不安のまま、やたらテンション上げて無理やり話続けた。

「わー、美味しそう。私サーモンのやつにしたんだー」

「私は中トロ追加したよ」

「お父さんは、やっぱマグロの赤身がメインだね」

「お父さんのはね、ハマチとイカもマグロの赤身に変えたのよ」

毎日一緒に生活している美恵子でさえ、テンションをあげているように感じた。

「それにオプションの茶碗蒸しも、お父さん食べてね」

「今日は父の日なんだから」

「そうだよ。だからお寿司なんだよ」

何で珍しく娘たちが来たのか考えてもいないと思うが、説明的な会話が続いた。

「これいらなーい」

剛は茶碗蒸しは食べないらしい。しかも言い方が子供っぽい。ワガママな子供。せっかく剛が好きだから頼んだのに。

美恵子は「美味しいよ。食べればいいのに」

「いらないよ。いらないって言ってんだろ!」

あーーーー始まった。イヤな空気。もうこれいつからだっけな。こういう感じ。この空気がホントイヤ。

「じゃ、夜食べる?」

美恵子も案外しつこい。やめとけばいいのによく言えるなと思いつつも、マリモとタラモは

「私サーモンから食べようっと」

「私イカいくわ」とか話をそらし続けた。

「これいらなーい。食べていいよ」

今度はマリモにいくらの軍艦巻きを差し出した。マリモは自分のだけでもかなりの量があるからきついなーと思いつつも

「えっ! いいの!」と言って嬉しそうにそれを食べた。

「タラはこれ食べな」タラモも同じ気持ちで

「やったー! いただきまーす!」と嬉しそうに答えた。

「ワサビすげー入ってんなー」ワサビに文句。

「なんだよこれ! こんなの気持ち悪くて食えねーよ」アナゴに文句。昔は大好きだったじゃん。

美恵子曰く、剛はここんところ舌も幼稚になっているらしい。子供が好きそうな食べ物を好んだ。例えば、パン、ラーメン、パスタ・・・。

特にお気に入りは『バーガーキングのハンバーガーとポテトのセット』

聞いているだけならカワイイが、まったく手のかかる子供だ。しかも態度はいたって偉そう。手に負えないクソじじい。

ぜひバーガーキングを最後の晩餐にしてやりたいと本気で思ったわ。

ま、それでも今日は会いに行って良かったと思ったんだけどね。

飲み過ぎなのよ

次へ

Top Page