2前兆(前編)

2023.1.2

お正月恒例の家族の集まり。剛と美恵子のところに長女のマリモ、次女のタラモと夫のヨッシー、そして愛犬のブー太郎、三女のリリ子と夫のミッチ、そして長男のポン太総勢8名と1匹で、いつものお正月となんら変わらず、お昼からワイワイとお酒を飲みながらご馳走を食べた。

剛は「今年は青学がダメだなー」なんて、それもいつもとなんら変わらず箱根駅伝に夢中になっていて、お酒も入りご機嫌だ。

ここ数年はいつも剛の顔色を伺っていた。マリモは、あ、お父さんいつも通りだ!って思ってたし、おそらくみんなも思ってた。そう短気が出ないように気を使っていたのだ。

「はい、ポン太お年玉」「これお年賀ねー」なーんて感じのよくあるお正月の実家風景。お参りに行ったり、花札したり、本当に穏やかで楽しい時間だった。

だが!「そろそろ帰ろうか。お腹もいっぱいだしねー」というときに事件は起こった。

剛と美恵子、どちらが子供たちを駅まで送るのかの、どうでもいいバトルが勃発。

「お前は目が悪いだろ!夜の運転は危険だ!オレが行く」と剛は言い、美恵子は美恵子で、剛は頭がボケてるからねーと本心では思いながらも「お父さんはお昼にお酒飲んだでしょ!!」と反発。小競り合いが始まったのだ。

あーーー始まった、始まった。ああーイヤだな。なんとも重苦しい不穏な空気。一気に緊張が走った。

「い、いいよ。いいよ。歩いて帰れるし」マリモは平静を装いながら言った。だがそんなことには聞き耳を立てないんだけどね。

「酒なんて、もう残ってねー!!」と言ってもまったく説得力なく剛の完敗。美恵子が送ることになった。(中編へ続く)

コーヒー②