30やっぱ狂ってるよね

この頃から美恵子は、パンを少しかじるくらいで、ほとんど食事を採れなくなっていた。娘たちがどうにか食べるように説得しても「食べたくない」の一点張り。これでは体力がもたない上に、そりゃ頭が回るわけがないのだ。

いや食べられないんじゃなくて、まさに食べたくないのだ。もう、何もかもイヤになって、なんなら衰弱して死にたいと思っていた。

普段から明るくちょっぴりおしゃべりな美恵子さえも、ここまで追い詰められる。認知症の家族は過酷だ。

剛はそんな美恵子をとても心配した。自分のせいでお隣が美恵子に攻撃している。そう思ったのだ。実際は攻撃しているわけではなく、剛の奇行を報告していたのだが。

お隣からの攻撃がなければ、美恵子はちゃんと食事も取れるし、いつもの明るい美恵子に戻るのではないか。

ただちに、その攻撃をやめさせなければ・・・そう考えた剛は、今までお隣に送った嫌がらせメールを、送る相手を間違っていたことにした。そして謝罪したのである。

昭和気質の剛が、頭を下げるのは珍しい。というか初めてかもしれない。

ボケているけど、それほど美恵子を心配していたのは確実だ。

ただこれにより、お隣を含め誰もが混乱した。急に手のひらを返したようなメールの内容に、本当に剛は狂っていると思った。

この段階でも、まだ剛を病院へ連れていけてないのが恐ろしい。

キモッ

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