64わきあいあい

「それで結局、お父さんが激怒したのは何が原因なの?」

「いやーハッキリ分からないんだけどね。また風呂上がりに急に怒り出したのよ」

あーやっぱり。やっぱ血流が良くなるとなるよね。風呂上がりに激昂するパターン。もう何度もあるからね。

夕方くらいに美恵子は、いただいた美味しそうなトウモロコシを茹でて「おやつ代わりにちょっと味見する?」と剛に声をかけた。

数時間後に夕食というのもあり、仲良く半分個して食べた。

「やっぱ旬だから、甘くて美味しいね」

「おう」

珍しくわきあいあいとして、楽しく過ごしたのである。

夕食もまあいつも通り。テレビ観ながらの他愛もない会話。盛り上がるでも盛り下がるでもない、いつもの感じ。

な、なのに・・・。

風呂上がりの剛は別人になっていた。

「なんなんだよ! 朝からずーーと無視しやがって。えっ!?」

「無視なんて少しもしてないわよ!」

「ずーと黙って、なんなんだよ! その態度は!!」

「オレを孤独死させる気かーーー!!」

そして美恵子の胸ぐらを掴もうとしてきたのだ。

ここんところ孤独をやたら恐れるようになっていた。

特に美恵子に執着していて、数時間家を空けると「孤独死するだろー!」って言うらしい。激昂しながら。

これはアルツハイマー型認知症の特徴でもある。社会から取り残されたような疎外感(孤立感)や強い不安感が出るらしい。

これにより美恵子は買い物くらいしか、外出が出来なくなったのである。

だんだん症状が顕著に出てきている気がする。

わきあいあい

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