72ザ・サラリーマン

「オレが会社行ってた時はよお、要領よくやってたもんだよ」

「へえー」

「社長の家に行ってな、いろいろ根回ししたもんだよ」

「社長と相撲も観に行ったなあ」

「えー、すごーい」

「会社なんてそんなもんだよ。そういうもの」

「やり手だねえー」

食事中の剛は饒舌だった。得意の会社時代の話。昭和のザ・サラリーマンの話。何十年も前の話。

剛にとっては幸せな日々だったんだろう。家族のためにがんばってたんだな。

そして一番記憶に残っているんだなと思った。

マリモとタラモはひたすら持ち上げて、機嫌を伺い、相槌をし続けた。

それでも剛の楽しそうな顔を見ると、やっぱ来て良かったと思ったし、知らない話もいっぱい聞けてとても貴重な時間だった。

テレビを観ながら3人でテレビに突っ込んだり、そんなこといつぶりだろう。

「お茶飲むか?」

「あ、いいや」

剛だって意外と気を使ってるのかもとマリモは思った。剛にお茶なんぞ入れてもらったこと一度もない。なのでどうしたらいいか分からなかった。

ホントに剛はボケているのかな?

もしかしたらボケてないのかも。

ボケてると決めつけているだけなんじゃないか。

と時々考える。

いや、そう願っているだけかもしれない。

ウトウト

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