
この頃から美恵子は、パンを少しかじるくらいで、ほとんど食事を採れなくなっていた。娘たちがどうにか食べるように説得しても「食べたくない」の一点張り。これでは体力がもたない上に、そりゃ頭が回るわけがないのだ。
いや食べられないんじゃなくて、まさに食べたくないのだ。もう、何もかもイヤになって、なんなら衰弱して死にたいと思っていた。
普段から明るくちょっぴりおしゃべりな美恵子さえも、ここまで追い詰められる。認知症の家族は過酷だ。
剛はそんな美恵子をとても心配した。自分のせいでお隣が美恵子に攻撃している。そう思ったのだ。実際は攻撃しているわけではなく、剛の奇行を報告していたのだが。
お隣からの攻撃がなければ、美恵子はちゃんと食事も取れるし、いつもの明るい美恵子に戻るのではないか。
ただちに、その攻撃をやめさせなければ・・・そう考えた剛は、今までお隣に送った嫌がらせメールを、送る相手を間違っていたことにした。そして謝罪したのである。
昭和気質の剛が、頭を下げるのは珍しい。というか初めてかもしれない。
ボケているけど、それほど美恵子を心配していたのは確実だ。
ただこれにより、お隣を含め誰もが混乱した。急に手のひらを返したようなメールの内容に、本当に剛は狂っていると思った。
この段階でも、まだ剛を病院へ連れていけてないのが恐ろしい。
4コマ漫画
キモッ

