49やっぱり忘れてるよね

2025.4.20

「もう出られる?」

「え?」

「こういうことは早い方がいいんだよ」

ヨッシーは焦っていた。早く剛のところに行って話したかった。思い立ったら行動せずにいられない性分だ。剛の様子はもちろん美恵子のことも心配だったからだ。

翌日になり、ヨッシーの提案で亀岡家を訪問することにしたのだ。

もういーや、スッピンで。

せっかちのヨッシーに急かされ、タラモは化粧をすることを断念し、急いで日焼け止めだけを塗りたくった。

ヨッシーは亀岡家のためにやってくれているんだ。ヨッシーに着いて行こう。それしかない。

亀岡家に到着すると、剛は心なしかニコニコしていて、なんだか嬉しそうだった。

「お義父さん、おじゃまします」

「おう」

ヨッシーはすぐには話を切り出すことが出来なかった。怒り出すのは間違いないからだ。

せっかく少し機嫌がいいのに、自らぶち壊すのだ。

間もなく美恵子は落ち着かない様子で、ヨッシーに目配せした。

よし! ヨッシーは心を決めて切り出した。

「お父さん、昨日お隣のご主人から連絡がありました。また子供に怒鳴ったんですか?」

「そうだよ、また騒いでるんだもん。何度注意してもダメよね。参っちゃうわ。フンッ」

剛の顔色が一瞬で変わり、たちまち不機嫌丸出しになった。

「だいたい何で隣のやつが、ヨッシーに連絡してるんだ!」

「この間、決めたじゃないですか! お隣とのやりとりは私がやると!」

そう、お隣との連絡係をヨッシーがやると2ヶ月前に決めたばかりだ。

「そんなこと言ってないだろ! オレたち夫婦の問題に口出すな!」

あー、やっぱり、やっぱり忘れてるんだ! ヨッシー、タラモ、美恵子3人はひどく落胆した。

しかもその頃、美恵子が剛のことの心労で、心療内科を受診したこともまったく覚えていない様子だった。

そう、剛は病気。アルツハイマー型認知症なんだ。忘れてしまうよね。それは分かっている。病気なんだと分かっているんだけど。きついな。つらいな。悲しいな思ってしまう。

最強孫③