10 疑惑(中編)

え、えーーーと、車どこに停めたっけ?

記憶にあるのは室内の駐車場だったということ。それだけ。周りには同じような駐車場がたくさんあった。

うそうそうそうそうそうそ! ヤバヤバヤバヤバヤバヤバ!

そんなわけないよね。すぐ見付かるよね!だんだん焦ってきたけどまったく検討つかず。

ああーもうダメだ・・・。見付かる気がしない・・・。

そしてとうとう美恵子とヨッシーに連絡したのだ。

剛としては、せっかくボケてない証明をとりに警察署に行ったようなものなのに、「はい、あなたボケてますよ」アピールみたいになってしまった。

こんなことは、よくあることだ! と強い気持ちで、え? 何ですか? ぜんぜん焦ってませんけど・・・みたいに振る舞った。

「弱っちゃうよね、似たような駐車場ばっかで」

あくる日ヨッシーの車に剛、美恵子、タラモを乗せ、剛の室内の駐車場だったという情報をもとに、一台一台確認しながら探し回った。

実は前日も美恵子と2人でかなり探したが見つからなかったのだ。この日は北風が強くて、体の芯底まで冷えきっていた。

「ここは昨日見たけどなかった」

「こういう感じではないんだよな」

剛はああでもない、こうでもないブツブツ言っていたが、そのうちに・・・・。

「確か、上から見渡せた気がする」

「ええ?? さっき立体駐車場じゃないって言ったよね」

「え?? 立体なの? どっちよ?」

「知らねーよ」

剛の話がコロコロ変わるので、何を信じていいか分からなかった。剛は室内だけど立体駐車場ではないと言っていた。だが今度上から見渡せたと言う。剛の言っていることがまったく分からない。

ホントボケてるよ・・・これじゃあ一生見つからないわ。タラモは寒さもあって少しイライラしていた。

仕方なく今度は、立体駐車場を上の階から念入りに探すことにした。その剛の新たなる記憶が正しければなのだが・・・信じるしかないでしょ。

警察にも相談してみたが、そういうことは扱っていないとのこと。なんとも冷たいもんだ。こんな高齢化社会に。

もうかなり日も陰ってきたので、今日のところはいったん諦めることにした。(後編へ続く)

愚痴

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