「こんにちわー」
リリ子は少し緊張しながら、実家の門をくぐった。
と同時にチャイが予想以上に早くグズり始めた。
「やーだ。やーだ。お家帰る」
いや、じいじがイヤというよりは。よそのお家がイヤなのかもしれない。
あーーーーまずいよ! まずい! まずい!
「チャイ、大丈夫だよ。じいじだよ」
「イヤーーーーーーーーーお家帰る!! ギャーーーーーーーー!!!!」
「ギャーーーーーーーーー!!!!」
「イヤーーーーーー!! キャーーーーーーー!」
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「ギャアーーーーーーーーーーガーーーーーーーーーー!!!」
もう耳がキーーーーーンとなるほどの声で、大粒の涙をこぼしている。
その時だった。
「なんなんだよ! うるせーーーーーーーーよ!!」
「あああーーーー、親のしつけがなってないんだよ!!」
「もう帰れーーー!!」
あー始まった。せっかく顔を見せに来たのに。何の情もないのよ。
リリ子は怒りと悲しみの中、子供を守るためにも強く
「もう二度と来ないよ。バイバーイ」と言い、なんと5分で退散したのである。
やはりアルツハイマー型認知症の症状として、音に敏感になる傾向がある。普通の人よりも大きく不快に感じられる。だから度々お隣の子供が騒いでいた時、怒鳴って問題を起こしてきた。
ただ、孫にもやるのか。絶望しかない。
それに「音」だけではないと思う。アルツハイマー型認知症により「情」も失われてしまった。
いや「情」だけじゃない。こういう時こう言ったらこうなるとか、可哀想とか、人として普通に考えられる部分が欠落してしまったのだと思う。
それによって、自分の大切な人を平気で傷つけてしまう恐ろしい病気なのである。
4コマ漫画
ギャン泣き

